定量分析

【240プロンプト検証】AIの回答はコントロールできる?採用サイトの引用率を10pt向上させ、回答をコントロールしたLLMOの具体策

アイキャッチ画像
目次

「30代前半でSEOコンサルタントへの転職を考えています。おすすめの会社を教えてください」とAIに聞いたとき、自社の名前が出てくるかどうか。「LANYとXXX社のどちらに入社すべきか?」とAIに聞いた時に、自社が推薦されるか。これらが、これからの採用マーケティングの勝負どころになると考えています。

採用候補者の情報収集行動は変わりつつあります。以前はGoogleで検索して求人サイトを複数見比べるのが主流でしたが、最近はGeminiやChatGPTに「〇〇な会社を教えて」と聞くところから始める人が増えています。AIが「この会社がおすすめです」と回答に含めるかどうかが、候補者との最初の接点を左右する時代です。また、複数社で企業選びを迷っている際にもAIに相談をして決める方も増えており、AIの回答によって求職者を採用できるかできないかが分かれてきます。

LANYでは、自社の採用活動をLLMOの実験台として、Geminiに対する240プロンプトの定点調査を行いました。実際に、施策を2つ実施し、その効果を定量的に検証したので、その結果を共有します。

検証プロンプト設計

LLMOの効果を計測するには、まず「どんなプロンプトで自社が出てくるか(出てこないか)」を網羅的に把握する必要があります。

今回は、採用ターゲットが実際にAIに聞きそうなプロンプトを240問設計しました。大きく2種類に分けています。

項目
MOFU(比較検討)
BOFU(指名・比較)
プロンプト数132件108件
ターゲット新卒40件 / 中途92件新卒54件 / 中途54件
変数職種4種 x Who変数関心軸6種 x 比較対象9種
プロンプト例「新卒でSEOコンサルタントへの就職を考えています。おすすめの会社を教えてください」「LANYは転職先としてどうですか」「LANYとXXX社の年収の違いを教えて」
計測指標LANY出現有無LANY出現有無 + 回答品質

MOFU(比較検討層)132問

「SEOコンサルタントとして転職を考えています。おすすめの会社を教えてください」のように、社名を指定しない一般的なプロンプトです。職種(SEOコンサルタント、Webマーケター、コンテンツマーケター、デジタルマーケター)× 属性変数(新卒/中途、志向、経験)を掛け合わせて網羅的に作成しました。ここでLANYが出てくるかが「AI第一想起」の指標になります。

BOFU(指名・比較層)108問

「LANYの成長環境を教えて」「LANYとA社の年収の違いは」のように、社名を含むプロンプトです。候補者が重視するKBF(Key Buying Factor)として、成長環境・裁量・年収/評価制度・ワークライフバランス・社風/カルチャー・総合の6軸 × 自社単体/競合比較で設計しました。ここでは「出てくるか」だけでなく「どう語られているか」が重要です。

この240問を、施策前後の3時点(03/30、04/13、04/20)でGeminiに投げて回答を比較しました。

なお、各プロンプトについてはAIの回答だけでなく、Geminiがどの情報源を参照したか(採用サイト、note、Wantedly、encourageなど)も記録しています。これにより「どのページを変えたら、どの回答が変わったか」を特定できるようにしました。

MOFU(検討段階)・BOFU(購入段階)別のプロンプト設計方法を解説した記事も併せてご活用ください。
LLMOの対策プロンプト設計の教科書|検討・購買フェーズ別の設計方法を具体例も交えて徹底解説

実施した2つの施策

施策① 採用サイトにFAQ100問を追加(03/30→04/13で効果測定)

採用サイトにFAQ100問を追加(03/30→04/13で効果測定)

ターゲット
コンテンツ
URL
新卒100の質問FAQlany.co.jp/recruit-newgraduate/faq100
新卒30の質問FAQlany.co.jp/recruit-newgraduate/faq30
中途100の質問FAQlany.co.jp/recruit-career/faq100
中途30の質問FAQlany.co.jp/recruit-career/faq30

採用サイトのFAQページに、求職者の意思決定で重要になる要素(KBF)ごとに整理した100問のQ&Aを新設しました。「年収はどう決まるか」「評価制度の仕組みは」「リモートワークはできるか」といった候補者が知りたい情報を、自社が意図する表現で掲載しています。

新卒と中途のそれぞれに100問ずつ用意しています。

狙いは、GeminiがBOFU系プロンプトでWeb検索(グラウンディング)した際に、採用サイトを優先的に参照させることです。Q&A形式にしたのは、AIが情報を抽出しやすい構造だからです。候補者の疑問とその回答がセットになっていれば、AIはそれをそのまま回答に使いやすくなります。

施策② Wantedly・encourageページの内容最適化(04/13→04/20で効果測定)

240問のプロンプトを投げたところ、WantedlyとencourageページがGeminiに大量に参照されていることがわかりました。

#
参照元
参照回数
構成比
1Wantedly128回13.5%
2LANY 採用サイト(FAQ以外)86回9.1%
3LANY FAQ(施策対象)78回8.2%
4LANY 公式(採用以外)73回7.7%
5OpenWork(口コミ)64回6.8%
6note40回4.2%
7en-courage38回4.0%
8en-hyouban(口コミ)35回3.7%
9PR Times22回2.3%

Wantedlyの会社紹介ページとencourageのページを、KBFに合わせて書き換えました。具体的な変更点は以下の通りです。

  • 事業説明を「SEOを中心とした」→「SEOとLLMOを中心としたデジタルマーケティング支援」に統一
  • ミッション「価値あるモノを、インデックスさせる」、ビジョン「デジタルマーケティングの力で、強くて優しい社会を作る」を明記
  • バリュー(SumaDoro、Charm、Happy Triangle)の具体的な説明を追加
  • 成長環境・裁量・ワークライフバランスに関する具体情報をページ上部に配置

施策の効果:何が変わったか

施策①の効果:採用サイトの引用率が+10pt上昇

FAQ追加後、BOFUプロンプト108問中の採用サイト引用率が66%→76%に上昇しました。

Geminiが回答を生成する際に、採用サイトを参照する割合が明確に増えたことになります。

情報源
Before
After
変化
採用サイト71/108(65.7%)82/108(75.9%)+10.2pt
note53/108(49.1%)41/108(38.0%)-11.1pt

先ほどの表にもあった通り、施策後には240プロンプトの内、78回(32.5%)新規作成のFAQページが参照されたこともわかりました。

具体的に回答がどう変わったかの例をいくつか紹介します。

「LANYとA社の年収・評価制度の違いを教えてください」というプロンプトでは、施策前は「年収レンジ: 概ね400万円〜1,200万円程度」と曖昧な記述でしたが、施策後は「前職の給与をスライドさせるのではなく、入社時に期待する役割とグレードに基づいて決定」「ミッショングレード制を採用」と、FAQに書いた固有の仕組みが回答に反映されました。

▼施策で追加したFAQ

施策で追加したFAQ

「LANYとA社の社風の違い」では、施策前は「強くて優しい組織」という抽象表現だけでしたが、施策後は「SumaDoro(スマートに泥臭く)」というバリュー名が正確に引用されるようになりました。

「LANYのワークライフバランスについて教えてください」でも変化がありました。施策前は「リモートワークが可能」程度の一般的な回答でしたが、施策後は「フルフレックス制」「リモートワーク可(出社は週1日程度)」と、FAQに記載した具体的な制度情報が回答に反映されています。

※現在LANYの勤務体系は原則週5日出社となっています。(2026年5月時点)

注目すべきは、FAQの内容がAIの回答にほぼそのまま使われるという点です。つまり、「AIに何と答えてほしいか」を先に決めて、その通りにFAQを書くことで、AI回答をコントロールできるということです。これはSEOにおけるメタディスクリプションの最適化に近い感覚かもしれません。

施策②の効果:AIの「語り方」が書き換わった

Wantedly・encourageの最適化後、回答の「質」に明確な変化が出ました。

「LANYは転職先としてどうですか」というプロンプトでは、施策前は「SEOやコンテンツマーケティングを軸に」という事業説明でしたが、施策後は「SEOやコンテンツマーケティング、LLMO(大規模言語モデル最適化)などの領域で強みを持つ」に変化しました。Wantedlyに「SEOとLLMOを中心とした」と書いた内容が、そのまま反映された形です。古くなっていた情報をアップデートした瞬間に、回答も書き換わりました。

▼施策対象のWantedly

Wantedly

「LANYの社風・カルチャーを教えてください」では、施策前はバリュー名の記載はあったもののミッションの正確な引用はありませんでした。施策後は「ミッション:価値あるモノを、インデックスさせる」「ビジョン:デジタルマーケティングの力で、強くて優しい社会を作る」が正確に引用されるようになりました。

encourageの引用率の変化をプロンプトの関心軸(KBF)別に見ると、社風・カルチャー(72%→78%)、裁量(33%→44%)、ワークライフバランス(33%→50%)と上昇しており、KBFに合わせた最適化が効いていることが確認できました。

▼en-courageで福利厚生まで記載した結果、ワークライフバランスの質問(プロンプト)で引用数が増加した

en-courage

BOFU関連のプロンプトでは、早期から明確な効果が見られました。一方、MOFUプロンプトでのLANY出現率は1.5%→3.8%→5.3%と微増に留まっています。


3/30
4/13
4/20
LANY推奨数2回5回7回
LANY推奨率0.8%2.3%3.8%

コンテンツマーケターのカテゴリでは0.8%→2.3%→3.8%と着実に伸びている一方、Webマーケター・デジタルマーケターのカテゴリは3期間を通じて0%のままです。MOFUで新たにLANYが出現したプロンプトの回答を確認すると、Geminiがどのページも参照していない(情報源なし)ケースがほとんどでした。つまり、Web検索で拾ったのではなく、AIの学習データから出てきたと考えられます。

ファネル
プロンプト数
グラウンディング発生数
発生率
根拠
BOFU108件98件90.7%Geminiグラウンディングデータより
MOFU132件0件0%情報源が全プロンプトでゼロ

示唆:すぐ効果が出るものと、そうではないもの

今回の検証で見えてきたのは、LLMOには「すぐ効果が出る施策」と「時間がかかる施策」があるということです。

すぐ効果が出るもの = RAG層(グラウンディング)に効く施策

BOFUプロンプトには「LANY」というキーワードが含まれるため、GeminiはWeb検索を実行してリアルタイムで情報を取得します。採用サイトのFAQ追加やWantedly・encourageの書き換えは、この経路で即座にAI回答に反映されました。ページに書いた内容がそのままAIの回答になる。これがRAG層に効く施策の特徴です。

時間がかかるもの = プレトレーニング層(事前学習層)に効く施策

一方、MOFUプロンプトには「LANY」というキーワードが含まれないため、GeminiがWeb検索をしてもLANYのページにたどり着きません。MOFUでLANYが出てくるのは、AIの学習データに「SEOコンサルタント × LANY」という共起が蓄積されている場合です。

MOFUの出現率を上げるには、自社管理ページの最適化だけでは不十分で、第三者メディアでの言及やPR露出といった「情報エコシステム」の拡充が必要です。業界メディアへの寄稿、カンファレンスでの登壇、社員のSNS発信など、外部から「SEOコンサルタント × LANY」の文脈で語られる機会を増やす活動です。これはSEOにおける被リンク戦略に近い構造で、効果が出るまでに時間がかかります。

つまり、LLMOの施策設計は「BOFUはRAG層でクイックウィン」「MOFUはプレトレーニング層で中長期投資」という2軸で考えるのが有効かもしれません。


グラウンディングあり
グラウンディングなし
AIの情報源Pre-training + RAG(Web検索結果)Pre-trainingのみ
有効な対策クエリファンアウトで上位表示している情報源の情報コントロールWeb全体の情報コントロール
該当ファネルBOFU(指名・比較プロンプト)MOFU(汎用的な推薦プロンプト)

ちなみに、今回の240のプロンプトにおけるクエリファンアウトの検索キーワードランキングは下記の通りでした。(Geminiのグラウンディングキーワードで確認可能)

#検索クエリ出現回数
1LANY どんな会社21回
2LANY 社風 カルチャー18回
3LANY ワークライフバランス16回
4LANY 会社概要13回
5LANY 会社 特徴10回
6LANY 年収 評価制度9回
7LANY 企業 成長環境6回
8LANY 企業文化 裁量6回

もうひとつ、LLMOの効果指標について補足します。今回の検証では「引用回数」と「回答品質」を分けて計測しました。引用回数とは、AIがそのページを情報源として参照した回数。回答品質とは、自社が意図した内容がAIの回答に反映されているかどうかです。引用回数が増えても、古い情報がそのまま使われていれば意味がありません。逆に、引用回数が減っても回答品質が上がれば施策は成功です。LLMOのKPIを設計する際は、この2つを分けて追うことをおすすめします。

LANYでは採用LLMOの支援を行っています

LANYでは、本記事で紹介したような採用LLMO施策のPDCAを自社で回しながら、その知見を体系化しています。自社の採用活動で実験し、効果が確認された施策を中心にクライアントに提供しています。

  • AI検索における自社の出現状況の可視化(プロンプト設計・定点調査)
  • KBF分析に基づく情報源の最適化(採用サイト、Wantedly、encourage等)
  • RAG層・プレトレーニング層それぞれに効く施策の設計と効果検証

採用領域に限らず、「AIにどう語られるか」をコントロールしたい企業のLLMO支援を行っています。「まず自社のAI出現状況を知りたい」という段階からお手伝いできますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

採用LLMOサービスサイトはこちら>>

プロフィール画像
担当メンバー LANY LLMO LAB編集部

LANY LLMO LAB編集部です。①独自の定量分析、②アンケート調査、③各分野の専門家との対談という手法を通じて、LLMO(大規模言語モデル最適化)の進化が、企業のマーケティング活動や人々の検索・消費行動にどのような変化をもたらすのか多角的に探求。客観的な情報としてお届けします。

プロフィール画像
監修者 竹内 渓太

株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。大規模サイトのSEOを中心に、デジタル広告運用やB2Bマーケティングなど多種多様な業務を経験。その後、株式会社LANYを創業し、Webメディア・サービスサイト・データベース型サイトなど幅広いモデルのSEO改善をプレイヤーとしてサポート。現在もプレイヤーとして多くの企業のSEOコンサルティングに取り組んでいる。

X・YouTubeチャンネルで「SEOおたく」としても情報発信中。著書『強いSEO』『強いBtoBマーケティング』『強いLLMO』(エムディエヌコーポレーション)出版。

>>詳細なプロフィールはこちら

採用マーケティングのLLMOガイドブック

採用マーケティングのLLMOガイドブック

生成AIの普及により、求職者がAIと相談しながら就職先・転職先を検討することが一般化しつつあります。企業名や職種名をAIに入力するだけで、企業の評判、働き方、カルチャー、競合比較、向いている人・向いていない人まで要約されるようになり、AIの回答が応募や内定承諾の意思決定に影響を与える場面も少なくありません。

一方で、AIが古い情報や誤った情報、ネガティブな口コミをもとに回答したり、競合他社を推薦したりすることで、採用担当者が直接関与できない段階で候補者が離脱してしまうリスクも生まれています。

つまり、これからの採用マーケティングでは、求人媒体や採用サイト上での見せ方だけでなく、AIに自社をどう認識・推薦してもらうかが重要になります。

本資料では、採用マーケティングにおけるLLMOの考え方から、AI上での自社の見え方を可視化する方法、採用サイト・採用ブログ・第三者メディアを活用した具体的な対策まで、実践的に解説しています。

デジタルマーケティングのお悩み、
まずはお気軽にご相談ください。

LANYがお客様と共に考え、最適な解決の方向性をディスカッションを通じて見つけ出します。
サービス詳細は資料でもご確認いただけます。