調査レポート

企業のLLMO対策実態調査

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目次

LANY LLMO LABでは、Webマーケティングを3年以上行っている企業の経営者・役員100名を対象に、企業のLLMO対策実態調査を実施しました。

本記事では調査結果について解説します。

  • 本記事はIDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」によるインターネット調査)を基に作成しています。結果はあくまで回答者集団における傾向を示すものであり、一般的な傾向を保証するものではありません。
  • 合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
  • 本調査データをご利用の際は、以下の条件に従って出典を明記してください。
  1. 情報の出典元として「株式会社LANY」の名前を明記してください。
  2. ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
   URL:https://www.lany.co.jp/lany-llmo-lab/llmo-status-survey

調査の背景

ChatGPTやClaudeをはじめとする生成AIの普及により、人々の情報収集行動は大きな転換期を迎えています。従来の検索エンジン中心の行動から、AIに直接問いかけるスタイルへと移行が進む中で、企業のマーケティング戦略にも変化が求められています。

特に、回答の根拠とする情報源を通して生成AIが自社をどのように認識しているかは、今後の集客チャネルに直結する重要な要素となります。AIに正しく紹介され、適切に回答に反映されることは、検索流入に代わる新しい顧客接点の獲得につながります。

こうした背景を踏まえ、株式会社LANYは、Webマーケティングを3年以上行っている企業の経営者・役員100名を対象に調査を実施しました。本調査の目的は、企業のLLMO(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)への関心度や投資意欲、実際の取り組み状況や課題を明らかにすることです。

調査概要

  • 調査名称:企業のLLMO対策実態調査
  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間:2025年8月7日〜同年8月8日
  • 有効回答:Webマーケティングを3年以上行っている企業の経営者・役員100名

過去6ヶ月間のオーガニック検索流入、59.0%が「変化なし」と回答

「Q1.過去6ヶ月間で、自社サイトへのオーガニック検索流入にどのような変化がありましたか。」(n=100)と質問したところ、「かなり減少した」が4.0%、「やや減少した」が8.0%という回答となりました。一方で「変化なし」が59.0%と過半数を占めています。

Q1.過去6ヶ月間で、自社サイトへのオーガニック検索流入にどのような変化がありましたか。

  • かなり減少した:4.0%
  • やや減少した:8.0%
  • 変化なし:59.0%
  • やや増加した:6.0%
  • かなり増加した:3.0%
  • わからない/答えられない:20.0%

生成AIに自社名や主要サービスについて質問した際、25.0%が「詳細さに欠ける」返答がある状況

「Q2.ChatGPTやClaude等の生成AIに自社名や主要サービスについて質問した際、どのような回答が返ってきますか。」(n=100)と質問したところ、「基本的な情報は含まれるが、詳細さに欠ける」が25.0%、「自社について適切な情報が表示される」が21.0%という回答となりました。

Q2.ChatGPTやClaude等の生成AIに自社名や主要サービスについて質問した際、どのような回答が返ってきますか。

  • 基本的な情報は含まれるが、詳細さに欠ける:25.0%
  • 自社について適切な情報が表示される:21.0%
  • ほとんど言及されない、または誤った情報:11.0%
  • 情報は含まれるが、一部不正確:8.0%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:35.0%

「LLMO」の認知度、概要の理解が進んでいるのは3割ほど

「Q3.AI検索最適化(LLMO)という概念や手法についてどの程度ご存知ですか。」(n=100)と質問したところ、「詳しく理解している」が4.0%、「概要は理解している」が29.0%という回答となりました。

Q3.AI検索最適化(LLMO)という概念や手法についてどの程度ご存知ですか。

  • 詳しく理解している:4.0%
  • 概要は理解している:29.0%
  • 聞いたことはあるが詳細は知らない:24.0%
  • 今回初めて聞いた:28.0%
  • わからない/答えられない:15.0%

LLMO対策の実施状況、33.3%が「試験的に開始」

Q3で「詳しく理解している」「概要は理解している」「聞いたことはあるが詳細は知らない」と回答した方に、「Q4.AI検索で自社が適切に表示されるための対策(LLMO対策)の実施状況をお聞かせください。」(n=57)と質問したところ、「試験的に開始している」が33.3%、「実施予定はない」が21.1%、「1年以内の実施を検討中」が15.8%という回答となりました。

Q4.AI検索で自社が適切に表示されるための対策(LLMO対策)の実施状況をお聞かせください。

  • すでに本格的に実施している:8.8%
  • 試験的に開始している:33.3%
  • 6ヶ月以内に開始予定:12.3%
  • 1年以内の実施を検討中:15.8%
  • 実施予定はない:21.1%
  • わからない/答えられない:8.8%

LLMO対策の成果、「リード獲得コスト削減」が最多

Q4で「すでに本格的に実施している」「試験的に開始している」と回答した方に、「Q5.LLMO対策で実際に得られた成果があれば教えてください。(複数回答)」(n=24)と質問したところ、「リード獲得コストの削減」が54.2%、「AI検索経由の問い合わせ増加」が41.7%、「営業活動の効率化」が37.5%という回答となりました。

Q5.LLMO対策で実際に得られた成果があれば教えてください。(複数回答)

  • リード獲得コストの削減:54.2%
  • AI検索経由の問い合わせ増加:41.7%
  • 営業活動の効率化:37.5%
  • カスタマーサポートへの問い合わせ減少:33.3%
  • 採用応募者数の増加:25.0%
  • まだ明確な成果は出ていない:8.3%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:0.0%

競合のLLMO対策、44.0%が「気になっている」と回答

「Q6.競合他社がLLMO対策を実施しているかどうか、どの程度気になっていますか。」(n=100)と質問したところ、「非常に気になっている」が9.0%、「やや気になっている」が35.0%という回答となりました。

Q6.競合他社がLLMO対策を実施しているかどうか、どの程度気になっていますか。

  • 非常に気になっている:9.0%
  • やや気になっている:35.0%
  • あまり気になっていない:18.0%
  • 全く気になっていない:23.0%
  • わからない/答えられない:15.0%

LLMOに期待する成果、第1位は「営業活動の効率化」

「Q7.LLMO対策で期待している成果を教えてください。(複数回答)」(n=100)と質問したところ、「営業活動の効率化」が34.0%、「リード獲得コストの削減」が31.0%、「AI検索経由の問い合わせ増加」が28.0%という回答となりました。

Q7.LLMO対策で期待している成果を教えてください。(複数回答)

  • 営業活動の効率化:34.0%
  • リード獲得コストの削減:31.0%
  • AI検索経由の問い合わせ増加:28.0%
  • カスタマーサポートへの問い合わせ減少:23.0%
  • 採用応募者数の増加:17.0%
  • その他:1.0%
  • 特にない:24.0%
  • わからない/答えられない:14.0%

LLMO推進上の課題、「専門人材不足」が20.0%で最多

 「Q8.LLMO対策を進める上で、最も大きな課題は何ですか。」(n=100)と質問したところ、「LLMOの専門人材が不足している」が20.0%、「具体的な実施ロードマップが描けない」が11.0%、「組織全体でのLLMO理解・浸透が進まない」が11.0%という回答となりました。

Q8.LLMO対策を進める上で、最も大きな課題は何ですか。

  • LLMOの専門人材が不足している:20.0%
  • 具体的な実施ロードマップが描けない:11.0%
  • 組織全体でのLLMO理解・浸透が進まない:11.0%
  • 必要な投資規模に対して予算が確保できない:10.0%
  • ROIや成果を定量的に測定する方法が確立されていない:6.0%
  • 従業員の抵抗感や既存業務プロセスの変更が困難:2.0%
  • データプライバシーやセキュリティリスクへの対応が困難:1.0%
  • その他:1.0%
  • 特にない:23.0%
  • わからない/答えられない:15.0%

現在のLLMO方針、30.0%が「実施していない・予定もない」

「Q9.LLMO対策について、現在の体制または今後の方針はどれに最も近いですか。」(n=100)と質問したところ、「実施していない・予定もない」が30.0%、「外部パートナーと協業(している/して進める)」が26.0%、「まだ体制を決めていない」が15.0%という回答となりました。

Q9.LLMO対策について、現在の体制または今後の方針はどれに最も近いですか。

  • 実施していない・予定もない:30.0%
  • 外部パートナーと協業(している/して進める):26.0%
  • まだ体制を決めていない:15.0%
  • 自社で人材育成し内製化(している/を目指す):13.0%
  • 外部委託中心(で運用/でまず始める):5.0%
  • わからない/答えられない:11.0%

SEO予算とLLMO予算、約3割が「いずれにも割かない」

「Q10.SEO予算とLLMO対策予算の関係について、最も近い方針はどれですか。」(n=100)と質問したところ、「SEOもLLMO対策も予算を割く予定はない」が27.0%、「今後SEO予算の一部をLLMOに振り分ける予定」が13.0%、「SEO予算からの振り分けは考えていない」が13.0%という回答となりました。

Q10.SEO予算とLLMO対策予算の関係について、最も近い方針はどれですか。

  • SEOもLLMO対策も予算を割く予定はない:27.0%
  • 今後SEO予算の一部をLLMOに振り分ける予定:13.0%
  • SEO予算からの振り分けは考えていない:13.0%
  • SEOとLLMOを「検索対策予算」として一体管理予定:10.0%
  • SEO予算は維持し、LLMO用に追加予算を確保:9.0%
  • すでにSEO予算の一部をLLMOに振り分けている:8.0%
  • わからない/答えられない:20.0%

今後1年間のLLMOへの投資方針、前向きな回答が33%

「Q11.今後1年間のLLMO対策への投資方針として、最も近いものはどれですか。」(n=100)と質問したところ、「未定/検討中」が23.0%、「投資を拡大する」が21.0%、「現在の投資水準を維持する」が13.0%という回答となりました。

Q11.今後1年間のLLMO対策への投資方針として、最も近いものはどれですか。

  • 未定/検討中:23.0%
  • 投資を拡大する:21.0%
  • 現在の投資水準を維持する:13.0%
  • 投資しない/投資を縮小する:11.0%
  • 試験的に小規模投資する:8.0%
  • 投資を大幅に拡大する:4.0%
  • わからない/答えられない:20.0%

今後3年間で「AI検索がビジネスに影響を及ぼす」と約6割が予測

「Q12.今後3年間で、AI検索の普及がどの程度ビジネスに影響を及ぼすと思いますか。」(n=100)と質問したところ、「ある程度影響する(重要な要素の一つになる)」が21.0%、「やや影響する(競争優位性に大きく関わる)」が19.0%、「少し影響する(考慮すべき要素の一つ)」が12.0%という回答となりました。

Q12.今後3年間で、AI検索の普及がどの程度ビジネスに影響を及ぼすと思いますか。

  • かなり影響する(業界構造が変わるレベル):6.0%
  • ある程度影響する(重要な要素の一つになる):21.0%
  • やや影響する(競争優位性に大きく関わる):19.0%
  • 少し影響する(考慮すべき要素の一つ):12.0%
  • ほとんど影響しない(限定的な影響に留まる):12.0%
  • 全く影響しない:14.0%
  • わからない/判断できない:16.0%

本調査を通した考察/示唆

本調査は、Webマーケティングに精通した経営層でさえも、LLMO対策に対して「未来への期待・危機感」と「現在の静観・手探り」という二つの側面を持ち合わせている、黎明期特有の実態を浮き彫りにしました。そこから読み取れる重要な示唆は以下の2点です。

1. LLMO対策の現状は、静観する多数派と先行投資する一部の企業の二極化

オーガニック検索流入に「変化なし」と答えた企業が約6割、LLMO対策を「実施していない・予定もない」が3割という結果は、市場全体がまだAI検索のインパクトを肌で感じておらず、多くの企業が様子見の段階にあることを示しています。しかしその水面下では、本当に検証できているかどうかの懸念は残るものの一部の企業から「リード獲得コストの削減」といった具体的な成果が報告され始めています。現時点での影響が小さいがゆえに静観する多数派と、将来を見据えて先行し、すでに果実を得始めている少数派との間で、静かながらも着実な二極化が進みつつあるのが現在の市場環境と言えるでしょう。

2. 未来への危機感と「実行ノウハウの欠如」という大きなギャップ

「今後3年間でビジネスに影響が及ぶ」と約6割が予測し、4割以上が競合の動向を気にしていることからも、経営層がLLMOの重要性を認識し、将来への危機感を抱いていることは見て取れます。それにも関わらず行動に移せない最大の障壁は、「専門人材の不足」や「具体的なロードマップが描けない」といった実行ノウハウの欠如にあります。現在は黎明期であり事例やベストプラクティスの情報がないこともあり、この状況には頷けます。この「危機感」と「アクション」の間に存在するギャップこそが、現在の企業が直面する最大の課題です。今後、この差をいかにして埋めていくかが、先行者との差を広げないための重要な鍵となります。

LANYとして、LLMOコンサルティングをご提供し始めても、数年後を見据えた経営層やマーケティング責任者が、目の前の費用対効果は精緻に考えすぎずに、先行投資をしているように感じます。逆に、まだAI検索のインパクトが大きくない現在では、目の前の費用対効果を考えた場合には、SEOやデジタル広告などの既存チャネルの方が圧倒的に効率的であり、現場担当者はそれらのアイテムに投資をしている印象です。

今後、どのタイミングでLLMOに着手をするのかは、企業ごとのスタンスの差分や投資の考え方に大きく依存していきそうです。

本調査のまとめ

企業のLLMO実態調査のサマリ

今回の調査では、AI検索の普及という大きな変化に対し、多くの企業が本格的な投資は時期尚早と判断して静観する一方で、競合の動向には関心が高まっているという、黎明期特有の市場心理が浮き彫りになりました。

LLMO対策を「実施していない・予定もない」企業が3割にのぼり、予算面でも合計40.0%が投資に消極的な姿勢を示すなど、市場の多数派が「まだ本格的に投資する時期ではない」と考えていることが明確に示されました。

しかし、こうした静観ムードとは裏腹に、44.0%もの経営層は競合他社の動向を「気にしている」と回答しており、対策の遅れが将来的な競争上の不利につながることへの危機感を潜在的に抱いていることが見て取れます。

このように、多くの企業が様子見に徹している現状は、裏を返すと将来の変化を見据えて行動を起こす企業にとって大きなチャンスが存在することを意味します。大半が「まだ早い」と考える今、他社に先んじて戦略的な先行投資を行うという選択肢が、将来の競争優位性を確立し、大きなリターンにつながるケースもあると推測できる結果となりました

本調査に関する連絡先

掲載内容について、個別にご連絡が必要な場合は下記よりお問い合わせください。

広報担当:黒木

メール:suzuka.kurogi@lany.co.jp

問い合わせ先:https://www.lany.co.jp/contact

生成AI検索時代のLLMO戦略ならLANYへご相談ください

現在、ChatGPTやGemini等のAI検索の利用率は、Google等の検索エンジンに対して数%と非常に少ないです。よって、LLMOを行ったとしても短期的に得られるリターンは小さいです。

また、SEOやPR等の、すでに取り組まれている施策の結果が、AIに選ばれるブランドになるために必要になるため、全く新しく何かを始めるという進め方は現時点ではすべての企業に推奨できる方法ではありません。

現時点では「AI検索における自社・競合の正しい現在地を把握すること」と「現在地を把握した上で、既に行われているSEOやPRをLLMOも意識して進め始めること」の2点に主眼をおいて、一歩目を踏み出すことを推奨しています。

そもそもLLMOに取り組む必要があるのか、取り組むとしたらまずは既存のSEOやPR領域においてどのような工夫をしていくべきか、もしくは先行投資として本格的に取り組む場合には、どのような体制でどのような戦略方針で進めていくべきか。

こういった部分にお悩みの方はぜひLANYへご相談ください。

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担当メンバー LANY LLMO LAB編集部

LANY LLMO LAB編集部です。①独自の定量分析、②アンケート調査、③各分野の専門家との対談という手法を通じて、LLMO(大規模言語モデル最適化)の進化が、企業のマーケティング活動や人々の検索・消費行動にどのような変化をもたらすのか多角的に探求。客観的な情報としてお届けします。

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監修者 竹内 渓太

株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。大規模サイトのSEOを中心に、デジタル広告運用やB2Bマーケティングなど多種多様な業務を経験。その後、株式会社LANYを創業し、Webメディア・サービスサイト・データベース型サイトなど幅広いモデルのSEO改善をプレイヤーとしてサポート。現在もプレイヤーとして多くの企業のSEOコンサルティングに取り組んでいる。

X・YouTubeチャンネルで「SEOおたく」としても情報発信中。著書『強いSEO』『強いBtoBマーケティング』『強いLLMO』(エムディエヌコーポレーション)出版。

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