CULTURE

「LANY式記事制作」の誕生秘話

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目次

生成AIの登場は、コンテンツ制作の常識を大きく覆しました。誰もがAIを利用できる時代になった今、問われるのは「ツールを使うスキル」ではなく、その技術をどう深く理解し、成果につなげるかという事業のスタンスです。

LANYもこの変化に正面から向き合いました。「コストは下げても、品質は上げる」という両立を目指し、収益を削ってでも価値を届けようとした初期の挑戦は、市場とのミスマッチにより一度立ち止まることになりました。

それでも、お客様の真のニーズに徹底的に向き合ったことが、「LANY式記事制作」の進化につながりました。

今回は、2人のキーパーソン──代表の竹内と記事制作を推進する菅原が、サービス刷新の舞台裏と人×AIの共創に込めた想いを語ります。

【竹内 渓太/株式会社LANY 代表】
・新卒で株式会社リクルートホールディングスに入社し、3年間SEOや広告運用、BtoBマーケなど幅広いデジタルマーケティング業務に従事
・X(@take_404)やYouTubeで「SEOおたく」として情報発信を行う
・著書に『強いSEO』『強いBtoBマーケティング』『強いLLMO』(エムディエヌコーポレーション)
▶︎竹内のインタビュー

菅原 光拳/リードコンテンツディレクター チームリーダー
・教育大学卒業後、アルバイトで勤めていた小売店の書店員として勤務
・退職後、フリーランスのライターとして活動を開始
・業務委託パートナーとしてLANYにて記事制作を経験したのち、2024年9月にLANYに入社
・2025年3月にMVPを受賞し、現在はコンテンツ制作のチームリーダーとして活躍
▶︎菅原のインタビュー


AIがもたらしたゲームチェンジ

竹内:

2025年2月、LANYは「AIライティングサービス」を立ち上げました。

それまでのLANYの記事制作フローは、徹底した分析、検索意図を深掘りした構成案、ライターによる丁寧なライティング、そして図解の作成など、人の手間とスキルを惜しみなく注いできました。これによって品質を担保してきたという自負があります。

【構成案】ライター・ディレクターによってつくられた構成案▲ライター・ディレクターによってつくられた構成案

【事前調査】▲ライター・ディレクターによる事前調査▲ライター・ディレクターによる事前調査

しかし、2023年頃から生成AIが一般化。文章作成や一定のリサーチが可能になり、業界全体に大きなゲームチェンジが起きました。

人とAIの役割を“引き直す”

生成AIが出現した当初、「人間がやるのがいいのか、AIがやるのがいいのか」という線引きに対する迷いがありました。これまで、徹底的な分析やライターの力といった「人の工数」をかけてクオリティを担保してきたからこそ、長年の経験とノウハウを持つ“人”が担う価値はどこにあるのか、と真剣に考えました。

しかし、AIモデルの精度が飛躍的に向上するにつれて、特にリサーチや情報収集の効率化の領域では、「AIの方が人間よりも優れている部分がある」と確信しました。

であれば、AIを単なる効率化ツールとして使うのはやめよう、と。LANYが培ってきたSEOの知見とノウハウをAIに深く組み込み、その上で「人が生み出すべき価値」を最大化できる記事制作フローを根本から再構築しようと考えました。

売上を削ってでも“本質的な支援”を

このゲームチェンジは、我々LANYが追求する価値観を問うものでもありました。

AIを活用することで、記事の制作工数は確実に下がります。では、価格はどうするか。据え置くのか、還元するのか。

僕らは後者を選び、当時1本10万円だったサービスを一時5万円へ。売上は単純計算で半減ですが、より多くの企業に“本質的な支援”で応える判断でした。

要するに、コストは下げても品質は上げる。この一見矛盾する価値を、設計と運用で両立させる挑戦です。

その後は工程を見直し、提供価値を明確にしたうえで、2025年11月現在、サービス価格は7万円(税別)に再定義しています。この価格変更の背景とサービス刷新の詳細については、後の見出し「価値を最大化するサービス刷新」でお話します。

「LANY式」が形になるまで

菅原:

会社の決断を受けて、僕はAIライティングサービスの開発チームに合流しました。しかしプロジェクトに合流した当初、僕は正直AIへの懸念を抱いていました。

僕自身、以前はライターやディレクターとして記事制作に深く関わっていたため、どこかに「人が書くべき」という想いもありました。「AIでLANYの品質に届くのか?」と、半信半疑でした。

AIにLANYのノウハウを伝える

しかし、AI対策コンサルティングの業務パートナーの方から共有された初期のプロジェクトシートを見たとき、一気に期待感が高まりました。LANYのノウハウが体系的にAIの工程に落とし込まれていたので、「これなら、AIを使ってもLANYらしい高品質な記事が作れるかもしれない」とシンプルにワクワクしたんです。

それ以降、日ごろ記事制作を推進する立場として、運用の実務目線からより良いものにしていくための検討と実践を重ねていきました。

サービス開発でもっとも時間をかけたのは、単にAIで文章を生成するだけでなく、「LANYが培ってきたコンテンツ制作のノウハウ」をAIに組み込むこと。

たとえば、以下のような試行錯誤を行いました。

  • ペルソナ/記事ゴールなどの分析フローを含める
  • 内部リンクを自動で取得できるようにする

こうしたLANYのノウハウを最大限に生かすアイデアを反映した結果、初期段階で高品質な記事制作フローが組むことができました。

トライ&エラーの軌跡

まず全工程を詳しく知るために、LANYブログで実地検証。制作した2本とも公開後すぐに検索上位*を獲得できました。

KW「記事制作 内製化」


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KW「BtoB企業 YouTube」


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* 2025/11/21現在 社内計測によると1位を獲得中

一方で、構成のズレや冗長さなど、出力の粗さも見えました。ここからは検証と改良の繰り返しです。

  • AIの新モデルは都度比較・検討
  • AIへの指示は、必要十分な項目に絞り、過不足を調整

こうした積み上げの結果、2025年11月現在シートはバージョン7まで更新しています。

AI時代の編集者の役割

一定のフローが整ったタイミングで、さまざまな「得意」を持つパートナーさんをアサインし、AIと人の役割分担を整理しました。AIの進化は「人が入る余白」、つまり編集の価値をより明確にしてくれたのです。

AIの出力は、デスクリサーチを効率化した“一次的な叩き台”にすぎません。だからこそ、生成されたアウトプットを疑う視点と独自情報での肉付けが、AI時代の編集者に不可欠です。

市場とのズレを正す

竹内:

サービス提供を始めたものの、ほどなくして立ち止まることになりました。原因は、我々が掲げた「AIライティングサービス」という名称が招いた市場との致命的なミスマッチです。

ネーミングが招いた誤解

これまで1記事10万円で提供していたSEO記事制作サービスを、AIの活用で一部工程を効率化し、半額の5万円で提供できるようにした──我々目線では手応えがありました。しかし、意図した価値が届かなかったのです。

当時、メールなどでご案内した際にいただいた声は、次のようなものです。

  • 「AIライティングなら、もっと安くできるはず」
  • 「過去のAI記事が低品質で不安」
  • 「安さより、従来の高品質を選びたい」

ここでようやく「AIライティング」というラベルが、「早い・安い・それなり」という市場の固定観念を強く喚起していたことに気づきました。

LANYが目指すのは、AIで効率化しつつ、人が深く関与して品質を高めること。その価値が伝わらない名前で出したのは、伝え方のミスでした。そこで、サービス名を「LANY式記事制作」へ再定義し、言葉(見せ方)と中身(工程・基準)の双方を揃え直しました。

求められていたのは“質と独自性”

名称変更とあわせて、サービスを中身から見直すためにリサーチを実施しました。

競合リサーチ、アンケート調査、お客様へのインタビュー(約10社)、広告ABテストを行い、仮説と実態の差を洗い出しています。

アンケート調査依頼のメルマガ▲アンケート調査依頼のメルマガ


なかでも約10社に実施させていただいたインタビューで得られた示唆は明確でした。求められていたのは「安さ」ではなく、「クオリティ」です。

特にエンタープライズのクライアントは「安くてそれなりな記事」ではなく、「コストをかけても、高品質な記事」を求めている──この気づきを受け「成果につながる高品質」を実現するために、体制と工程を抜本的に見直しました。

価値を最大化するサービス刷新

見直しの方向性はシンプルです。誤りを減らす、独自性を増やす、伝わりやすくする。 そのために、次の3つを標準化しました。

ファクトチェック体制の強化

AI活用時に最も懸念されたのがファクトの信頼性です。お客様の確認負担を増やさないよう、内容の誤りがない正確な記事を提供できるよう、工程を次のとおり改良しました。

ファクトチェック体制、著作権侵害、ハルシネーション対策▲ファクトチェック体制、著作権侵害、ハルシネーション対策

ファクトチェック体制、著作権侵害、ハルシネーション対策▲ファクトチェック体制、著作権侵害、ハルシネーション対策

アンケート・インタビュー

専門性と独自性を補強するため、アンケート調査・インタビューの実施〜反映までをオプションとして提供。構成確定→設問設計→実施→反映の順で運用し、回収データは図表・引用で一次情報として組み込みます。

この工程を踏むことで、SEO評価を高めていきます。

アンケート調査やインタビューも活用した「一次情報」の追加▲アンケート調査やインタビューも活用した「一次情報」の追加

アンケート調査やインタビューも活用した「一次情報」の追加▲アンケート調査やインタビューも活用した「一次情報」の追加

図解制作

可読性の向上と画像最適化による評価の改善を狙うオプション。

図解は内製だとディレクション工数含めて負荷が高い工程です。そこで、ラフ案の作成まで弊社が対応することで、発注側の工数を抑えつつ可読性とユーザー満足度の両立を目指します。図解制作による可読性および独自性の向上▲図解制作による可読性および独自性の向上

“AIにも人にも伝わる”設計へ

お客様の声に丁寧に向き合う中で、何を・どう提供するかがいっそう明確になりました。

この刷新のタイミングで、LLMO(大規模言語モデル最適化)の観点も運用に取り入れ、AIにも人にも伝わる設計へと更新しています。

こうした中身の見直しと名称の再定義を経て、いまは自信を持って「LANY式記事制作」をお届けできる状態です。

ここまでの取り組みにより、成果につながる品質を安定して届けるために必要な工程が、当初想定より増えました。

AIで効率化できる作業は徹底して削減しつつ、人でしか生み出せない価値に時間を配分する──その方針を明確にした結果、現在のサービス料金は7万円(税別)*に再定義しています。

*価格は2025/11/21時点の内容です。今後、付加価値や体制に応じて見直す場合があります。

LANY式の「いま」と「これから」

菅原:

僕たちの最終目標は「記事の納品」ではありません。 お客様の事業を一歩でも前に進めることです。

その前提として、AIが得意なことはAIに、人は本質へ。 役割を明確に分けて取り組みます。

いま──基準をそろえ、少しずつ上げる

現場の学びを定期的にフローに組み込み、基準値をじわりと引き上げる運用です。

マニュアル、チェックリスト、サンプルを整備し、AIライティング特有の注意点も明文化。標準化は現場を縛るためではなく、誰が入っても同じ品質に届く土台づくりのためにあります。

パートナーさんは外部協力者ではなく、同じ目標を追う“仲間”。この前提が、日々のコミュニケーションと品質を支えています。

これから──AIで100点に乗せ、人で120点へ

いまは体感で70〜80点のAI出力を、運用で100点(納品レベル)に整えています。次の段階では、AIの時点で100点に乗せ、編集は100→120点の加点に集中します。

そのために、プロンプトやフローの再設計、モデル比較の継続検証、学びの即標準化を回し続けます。

LANY式記事制作に込めたのは、AIを使いこなして、誰よりもお客様の成果に貢献するという真摯な姿勢です。人がやるべきことに時間を使えるように、そしてより良いコンテンツを届け続けられるように、さらにアップデートを続けていきます。

その積み重ねが、さらなる成果を生むと信じて──。

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担当メンバー 竹内 渓太

株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。大規模サイトのSEOを中心に、デジタル広告運用やB2Bマーケティングなど多種多様な業務を経験。その後、株式会社LANYを創業し、Webメディア・サービスサイト・データベース型サイトなど幅広いモデルのSEO改善をプレイヤーとしてサポート。現在もプレイヤーとして多くの企業のSEOコンサルティングに取り組んでいる。

X・YouTubeチャンネルで「SEOおたく」としても情報発信中。著書『強いSEO』『強いBtoBマーケティング』『強いLLMO』(エムディエヌコーポレーション)出版。

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担当メンバー 菅原 光拳

フリーランスのライター・ディレクターとして長年活動した経験を活かし、LANYでは記事制作の目線を活かした丁寧な進行管理や品質担保、迅速なコミュニケーションを軸にSEO記事やホワイトペーパー作成など多くのコンテンツ制作プロジェクトを推進。 AIを活用したLANY式 SEO記事制作代行サービスの開発やブラッシュアップにも携わり、社内R&Dチームの一員としても、記事制作やコンサルティングなどへのAI活用を日々検証・キャッチアップし、社内のAI活用推進にも取り組んでいる。

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担当メンバー 利倉 明日香

Webデザイナーやカメラアシスタントを経て、SEOのおもしろさに惹かれWebライター・ディレクターとして独立。株式会社AViCではSEO記事の制作に従事。 現在LANYにて、事例記事、オウンドメディア(CULTUREINDEX)、社員インタビュー記事、Podcast「LANY FM」などを担当。コンテンツを通じて、LANYの人・カルチャーを伝えることに力を注いでいる。

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