「流入」から「推奨」へ。AI検索時代に生き残るブランドの条件とは?- LLMOカンファレンス2026イベントレポート
生成AIが台頭したことで、ユーザーの検索体験は「青いリンクの羅列から自ら探す」スタイルから、「AIから回答を直接受け取る」スタイルへと完全に移行しました。
これにより、従来のSEO戦略は大きな分岐点を迎えています。今、企業に求められているのは、単なる検索順位の奪い合いではありません。AIという新たな意思決定の仲介者に、自社を信頼できるソースとして正しく「参照」させ、ユーザーへ「推奨」させるための最適化──すなわちLLMO(大規模言語モデル最適化)への抜本的な転換です。
では、具体的に「AIに選ばれる」ためには、何を、どの優先順位で進めるべきか。2026年のマーケティング現場では、どのような問いが立てられているのか。
そんな疑問に答えるべく、LANYは26年1月20日に検索・PR・ブランディングの第一人者6名が集結した「LLMOカンファレンス2026」を主催しました。
従来のSEOの枠を超えた「AIと人に選ばれ続けるための統合戦略」について語られた熱い3時間をダイジェストでお届けします。
1. AIに「おすすめされる」時代を勝ち抜く「統合型検索マーケティング」の全貌
主催のLANYからは代表の竹内が登壇。「統合型検索マーケティング」としてLLMOが必要とされる背景とその根本的な考え方について、提言を行いました。
検索の主体が「ユーザー」から「AI」へ

LANYは2026年を「AI検索元年」と定義。これまでのマーケティングは、検索結果の青いリンクから選んでもらう「流入獲得競争」でしたが、AI検索の普及により、ユーザーはAIが生成した「答え」を直接消費するスタイルへ激変しました。
ユーザーが自ら選ぶ時代から、AIが信頼に足るブランドを特定して提示する「推奨型」へのシフトはマーケティングの前提を根底から覆すと考えられます。
竹内は「このパラダイムシフトに対応できないブランドは、たとえ検索順位が上位でもユーザーの視界から消えるリスクがある」と警鐘を鳴らしました。
AIが回答を生成する3ステップと企業が介入すべきポイント

では、どう対策すべきか。竹内はAIの回答プロセスを「①推論、②調査、③生成」の3ステップで解説しました。 企業がマーケティング活動を通して介入すべき最重要ポイントは「②調査」の段階です。
AIはハルシネーション(=誤情報の回答)を避けるため、必ず「信頼できる根拠」を引用しようとします。この調査プロセスにおいて、自社が「参照されるべき確実なソース」としてAIに認識されるかどうかが、LLMOの成否を分けます。
「証拠(RTB)」をデジタル空間に戦略的に配置せよ

調査プロセスで自社の情報が参照されるために具体的に何をすべきか。竹内は「AIが根拠を探しに行く場所に、適切な『証拠(RTB:Reason To Believe)』を配置すること」が必要であると提示しました。
そのために、まずは自社がどのような文脈(CEP/カテゴリーエントリーポイント)で登場したいかを定義します。例えば「おすすめのSEOコンサル会社」という相談に対し、AIが回答生成において「具体的な成果」や「大規模サイトへの技術力」を重視(KBF)すると推測したとします。
その際、AIが情報を拾いに行く場所に「CV数7倍増」や「ナショナルクライアントの支援実績」といった客観的な事実(RTB)が適切に配置されていれば、AIはそれらを根拠として「この会社は実力があり信頼できる」と推奨文を生成することになります。
構造化データはもちろん、権威あるメディア、SNSでの言及、プレスリリースなど、AIが巡回するあらゆるポイントに、一貫したブランドの「強み」と「エビデンス」を配置していくこと。これがAIに選ばれるための最短ルートとなります。
2. 合理的にブランドが選択されるAI時代のブランディングとマーケティング戦略
検索が「推奨型」へと変化する中で、企業はAI向けの最適化だけでなく、最終的な意思決定者である「人間」への訴求をどう両立すべきか。
株式会社NexGen代表の金井氏は、AIエージェントが情報の比較を代替する時代における、ブランディングの新しい方程式を解き明かしました。
「機能価値」はAIが、「情緒価値」は人が決める

金井氏は、AI時代のマーケティングを「機能価値」と「情緒価値」の二正面作戦として捉え直すべきだという提言を行いました。これまでは、機能も情緒も一括りにして訴求してきましたが、2026年の世界ではその「届け先」が分離しています。
AIエージェントが情報を精査するフェーズでは、スペックや信頼性といった「機能価値」が冷徹にスコアリングされます。ここでAIに選ばれなければ、検討土俵にすら登れません。
しかし、AIが「これがおすすめです」と提示した後、最終的に購入ボタンを押すのは、今も昔も「感情」を持った人間です。そこでは、ストーリーや共感、デザインといった「情緒価値」が決定打となります。
AIの検討土俵に登るための「情報の構造化」

AIは、曖昧な比喩や情緒的なコピーを「ファクト(事実)」として理解することが苦手です。そのため、強みや実績といった機能価値は、徹底的に構造化・言語化されている必要があります。
その上で、金井氏は情報の「透明性」と「機械可読性」の重要性を指摘します。スペック表が画像の中に埋め込まれていたり、独自のポエムのような表現で説明されていたりするブランドは、AIによって「情報不足」とみなされ、検討対象から排除されます。
ブランドの価値をデジタルデータとして正しく翻訳し、AIが解析しやすい形でオンライン上に配置しておくことが、現代における「機能的ブランディング」の正体です。
オンライン・オフライン・CRMを統合する接点設計

これからの戦略は、接点ごとの役割分担がカギとなります。オンラインのAI空間では「確実な選択肢」として残るためにLLMOを徹底し、オフラインではAIが介入できない「熱量」や「体験」を人間に直接刷り込む場として活用します。
さらに金井氏は、ラストワンマイルを握るCRMの重要性を強調しました。AIが「コンシェルジュ」として顧客一人ひとりに最適化された対話を担うことで、機能と情緒の両面から築いた関係性をLTV(顧客生涯価値)へと転換していくことが最終的に目指すゴールになるためです。
ロジカルなAIとエモーショナルな人間。双方を満足させる統合的な設計こそが2026年のブランド戦略となります。
3. 引用・言及をKPIにするLLMO:顧客理解から作る購買導線設計
竹内が示した「AIに選ばれるための仕組み(LLMO)」と、金井氏が提言した「AIと人間の双方を対象としたブランド戦略」。これら二つの視点に共通するのは、「AIという新たな知性を、いかに自社の味方につけるか」という点です。
では、その「AIの知性」は具体的にどのようなロジックで情報を整理し、私たちのブランドを評価しているのでしょうか。
続くセッションでは、SEO研究チャンネルの平氏が登壇。Google AI Overviewの心臓部ともいえる核心技術「クエリファンアウト」を徹底解説し、AIがウェブ上の膨大な情報をどのように「一般合意」へと統合していくのか、その裏側のプロセスを解き明かしました。
1つの問いを分解する「クエリファンアウト」の衝撃

Googleの検索エンジンが「回答エンジン」へと進化した背景には、平氏が解説した「Query Fan-out(クエリファンアウト)」という技術が存在します。
従来のSEOは、特定のキーワードに対して1つのページを当てる「1対1」の対応関係でした。しかし現在のAI検索は、ユーザーの複雑な質問を、AIが複数のサブトピック(論点)に分解し、それらに対して並列的に検索をかけて回答を統合します。
例えば「ゴールドカード 30代」に対し、AIは「ポイント還元率」「年会費」「おすすめカード」などの論点を瞬時に生成します。この仕組みを理解せずに単一キーワード対策を続けても、AIが生成する「包括的な回答」には入り込めません。
Web上の「一般合意」の一部になれるか

AIは回答を組み立てる際、Web上の膨大な情報を参照し、そのトピックにおける「一般合意(コンセンサス)」を形成しようとします。平氏はこのプロセスにおいて、企業が「自社がどの論点におけるオーソリティ(権威)として認識されるべきか」を明確にする重要性を強調しました。
AIは多角的な視点から回答を構成します。その「合意形成」において、自社の主張やデータが「信頼できる専門的な意見」として引用される状態を作らなければなりません。
自社がどのサブトピックで勝負し、AIの回答における「不可欠な一要素」になれるかという、戦略的なポジショニングが問われています。
AIの参照先に情報を「デリバリ」するアプローチが求められる

これまでの検索エンジンは、自社サイトへ誘導するための単なる入口でした。しかしAI検索においては、ユーザーがサイトへ遷移せずとも、AIの回答画面内で情報の比較・検討が終わり、解決(=出口)まで至るケースが増えています。
この変化に対し平氏は、テクニカルなSEO以上に「情報のデリバリ」の重要性を強調しました。AIがサブクエリで情報を探し回る際、その参照先(比較サイト、ブログ、SNS、プレスリリース等)に自社の強みや信頼できるデータが「言及」として存在していなければ、AIに推奨されることはありません。
つまり、自社サイトを磨くだけでなく、AIが情報を拾いに行く「現場」へ能動的に情報を届けておく必要があります。
AI時代のSEOは、単に順位を上げる技術から、Web上の至る所にブランドの「証拠」を散りばめ、AIの合意形成をデザインする広義のマーケティングへと進化している、と提示しました。
4. AI検索(AIモード、AIOv)における広告の海外先行事例と未来への備え
理論として語られることの多いAI検索の影響ですが、現場では実際にどのような変化が起きているのでしょうか。
株式会社オプトの堀内氏は、最新の国内・海外データをもとに、検索トラフィックや広告効果の「現在地」を明らかにしました。
クエリの性質によって二極化する「流入」の影響

堀内氏は、AI Overviews(AIOv)の実装によって、検索ユーザーの挙動が「インテント(検索意図)」ごとに二極化している現状を報告しました。 大きな流入減少が見られるのは、定義やマナーなど、AIの回答だけで十分に理解できるインフォメーショナルクエリです。
一方で、具体的な事例や個別の機微を求める複雑なインテントを持つクエリでは、「自分のケースに当てはまるか不安」「もっと良い例があるのではないか」と深掘りしようとする心理が働き、AI回答内の引用リンクからの流入が維持、あるいは微増するケースも紹介されました。
この結果から、単に検索結果で上位表示できているかどうかではなく、AIが解決しきれない「深い悩み」にどう答えるかが問われていることが浮き彫りになりました。
「ステルス・インフレ」に対抗するインテントベースの管理へ

これからの検索マーケティングにおいて、堀内氏は「キーワード単体の順位」を追う従来の管理手法からの脱却を提言しました。その背景にあるのが、リスティング広告を襲う「3つのトレンド(ステルス・インフレ、検索語句の複雑化、指名検索の減少)」です。
AIの進化により検索語句が複雑化し、入札競争が激化する中で、キーワード単位の調整は限界を迎えています。重要になるのは、ユーザーのインテントに合わせたデータフィードの構築と、AIが理解しやすいセマンティック(文脈的)なコンテンツ形式への変換です。
キーワードを点で捉えるのではなく、「AI-Max(検索最大化設定)」などを活用してユーザーの意図を面で捉えることが、高騰するCPAを抑制しつつ減少するトラフィックを食い止めるカギとなります。
SEOと広告を統合する「サーチマネジメント」

さらに、AIによって複雑化する検索結果画面(SERPs)に対応するため、SEOと広告を個別に管理する弊害についても言及されました。堀内氏が訴えるのは、両者を一つのサーチ領域として統合管理する「サーチマネジメント」の重要性です。
これまでは「ビッグワードは広告、ロングテールはSEO」が定石でしたが、これからは「複雑なロングテールこそAI広告で拾い、競争の激しい指名領域はLLMOで守る」という役割の逆転が起こり得ます。
AIの回答状況やユーザーの挙動をアスキング調査(ビジュアルメジャー)などでリアルタイムに分析し、プラットフォーム全体を俯瞰したトータル戦略を描くことこそが、2026年の最適解としました。
5. LLMOに必要なサイテーション マーケティング部はデジタルPRとどう向き合うべきか
堀内氏によって示された、インテントに基づいた情報の配置。では、その配置された情報の「信頼性」を、AIは何をもって判断しているのでしょうか。
株式会社IDEATECHの競氏は、自社発信の情報以上にAIが重視する「第三者による言及(サイテーション)」の重要性を説きました。
AIは「何を信じるか」の基準をどこに置いているか

AI検索において、自社サイトがいかに優れていても、それだけでは「推奨」は勝ち取れません。競氏はAIが「何を信頼に足る情報とみなすか」に対し、第三者による言及、すなわち「サイテーション」が決定的な役割を果たすことをカリフォルニア大学バークレー(UC Berkeley)のAI引用に関する研究論文を踏まえて解説しました。
AIは「自社が語る自社の強み」を鵜呑みにはしません。むしろ、そのブランドがインターネット上でどのように語られ、他者からどう評価されているかという「外部の証拠」を、ブランドの権威性を測るための重要なスコアリング指標として活用しています。
この「サイテーションの網」を広げることこそが、LLMOにおける最大の攻略法なのです。
ドメインパワーから「言及の質と量」へ

これまでのSEOはドメインの強さが絶対的な正義でしたが、AIはそれ以上に、特定のトピックにおける「言及の質と密度」を重視しています。
たとえ新興のブランドであっても、信頼性の高い複数のメディアで紹介され、専門家のブログで引用され、公的な調査レポートで名前が挙がっていれば、AIは「この分野の専門家」として認定し、推奨順位を引き上げます。
これは、SEOの技術的ハックよりも、「社会的にどのような評価を得ているか」という、本来のブランド力やPRの成果がデジタル上の検索順位に直結する時代になったことを意味します。
デジタルPRがLLMOの最強の武器になる

競氏は「これからのマーケティング部は、PR視点を持って社会的な信頼を作っていく必要がある」と提言しました。
特に、AIは数値や統計などの「客観的なファクト」を好むため、調査レポートのリリースやメディア露出を通じて「世の中の合意」を形成すること。
このデジタルPRの活動そのものが、AIに「このブランドは信頼に足る」と認識させるための最強のLLMO施策になるという、新たな視点を提示しました。
6. LLM に推奨されるブランドになる:Ahrefs 独自調査から導く LLMO 戦略
ここまでのセッションを通じて、AIに選ばれるためのロジックや、信頼(サイテーション)を積み上げる重要性が浮き彫りになってきました。では、実際に主要なAIたちは、膨大なWeb情報の中から「どのサイト」を、そして「なぜ」選んでいるのでしょうか。
カンファレンスの最後を締めくくるのは、世界最大級のSEOツール「Ahrefs」の日本マーケティング統括・河原田氏です。
AI検索の現在地を「勘」や「経験」で語るのではなく、数百万規模のクエリを分析した独自の調査データをもとに徹底解剖。主要AIごとの引用傾向を明らかにするとともに、私たちが2026年以降に追うべき新たなKPIのあり方を提示しました。
主要AIツール別の「引用アルゴリズム」のクセを捉える

Ahrefsのデータによれば、Google系AIは検索上位サイトを好む一方、ChatGPT等のチャットAIは情報の「鮮度」や「ページ単位の評価」を重視し、従来のSEOでは圏外だったサイトを突然引用することがあります。
どのAIをターゲットにするかによって、情報の出し方を変える必要性が調査データで明らかになっています。
「AIの目」で自社ブランドはどう見えているか

河原田氏が強調したのは、「AIは『他者が語るあなた』を評価する」という事実です。多くの企業が自社サイトのSEOには心血を注ぎますが、AIの回答空間の中で自社がどう描かれているかを把握しているケースは稀です。
AIは常にWeb上の他者の発信による情報をクロールし、ブランドイメージを形成しています。この「AIから見たブランド像」をモニタリングし、外部の情報を強化していく活動が、今後のブランド管理の主戦場になります。
「ブランドレーダー」による定量的な推奨管理

最後に、河原田氏はAI検索時代のKPI管理として「ブランドレーダー」という概念を提唱しました。これは特定のクエリ群において、自社がどれだけのシェアで推奨されているかを可視化するものです。 もはや「何位か」という旧来の観測は機能しません。
自社のブランド名が、どの文脈で、どのAIツールにおいて推奨されているのか。この「AI視認率」をデータで追い、科学的に戦略を回し続けること。データドリブンにAI空間の占有率を奪いに行くことこそが、2026年を勝ち抜くための最終的な答えとなります。
これからのLLMOに向き合う3つの指針
カンファレンスの内容を踏まえ、「AIに信頼され、ユーザーへ『推奨』される状態を設計する」ためには、何に取り組むべきか。3点に整理してみました。
- 情報の「構造化」と「デリバリ」の徹底
- AIが理解しやすいデータの構造化を進めるだけでなく、AIが「証拠(RTB)」を探しに来る外部メディア等のあらゆる接点に、自社の強みを能動的に配置(デリバリ)する。
- 「第三者言及(サイテーション)」による信頼獲得
- 自社発信だけに依存せず、PRやメディア露出を通じて外部ドメインから「語られる状態」を意図的に創出する。それがAIに「このブランドは世論から選ばれている」と認識させるための最強の施策となる。
- 「機能」と「情緒」を分けた統合型体験設計
- 比較を担うAIには「機能的ファクト」で選ばせ、最終決断する人間には「情緒的ストーリー」で納得をつくる。オンライン・オフライン・CRMまでを一つのUXとして繋げることが勝ち筋となる。
「AI検索元年」とは、自社発信の誇張や小手先のハックが通用しなくなり、客観的な「証拠」と第三者からの「評価」の積み上げによって、本当に価値のあるブランドが選ばれるようになる時代の始まりを意味します。
LANYはLLMOを、PR・広告・CRMまで含めた「統合型検索マーケティング」として捉え、AIと人の両方に選ばれ続けるための戦略立案から実行までを支援していきます。
新しい検索体験の中で、推奨されるブランドをともに目指していきましょう。
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